䷅6.天水訟(てんすいしょう)
「訴訟ごとのとき」
この卦が表すもの
上の卦が「天」で、その下に「水」があります。天は上にあり、水は下へと流れるので、それぞれの向かう方向が異なっています。性質でいうと、天は強く、水は険しいので、両者とも強さ・激しさの度合いにおいて譲ることがありません。
人と人との関係も、互いの意向が違うと必ず争いに発展するおそれがあることを表しています。
「訟」は、「公の場で言う」と書くように、訴える、争うという意味があります。ここでは、相手方の立場が強く、話し合いに応じてくれないために、公の場で何とかしてほしいと訴える形です。
この卦が私たちに教えること
この卦では自分が訴えなくてはならない側にあり、困っている状態です。個人対個人の場合もありますし、個人と組織の関係においてのことも考えられますが、いずれにしても、困っているのは自分の側であって、相手は困ってはいないので、聞く耳を持ちません。
ここでは、こちらの訴えの内容がどんなに道理にかなっていたとしても、あるいは誠心誠意をつくしても、そのまま進むと塞がってしまうと出ています。つまり、自分の側が本当は正しかったとしても、訴えることはやめた方がよいということです。
ここでもう少し大きな視点で見てみると、訴訟になる場合の多くは、突然にトラブル発生となったものではなく、最初からその要因があちこちに潜んでいるものです。優れた人は、後に争いが起きないように、先々のことを見越してよく考えてから行動するといいます。
そして自分が訴える側に立ち、たとえ勝てたとしても、その後に必ず損害を被ると警告しています。
この卦が出たあなたへ
まずは今、自分の運気が衰えていることを認識してください。会社や組織においても、自分の立場や意見が認められずに、悶々とした日々を送らなくてはならないときです。
この卦が出たときは、考え方を真逆に方向転換して、思いやりと温かい気持ちで物事に対処していくことです。人と協調する姿勢が争いを避け、成功を導くカギとなります。
この卦が出てよいのは、特殊技能を持つ方・芸道の師匠・士業・医師等です。
結婚には、よい結果は期待できません。縁談としてはまとまりがたいときです。
恋愛では、どうしても別れられない関係まで進行しているのなら、信頼できる方に相談して進退を決めるとよいでしょう。
占い例
遺産相続争いで、自分の主張を貫きとおせすことができたと、当初は満足していた方がおられました。その後しばらくしてから、親族同士の関係が壊れ、二度と元の関係に戻れなくなったことを心から後悔しているとおっしゃいました。