地水師(ちすいし)~統率者の苦悩~

7.地水師(ちすいし)

「統率者の苦悩」

この卦が表すもの

上の卦に「地」があり、その下には「水」があって、大地の中に豊かな水をたたえている形をしています。これは、トップに立つ王や将軍が、多くの民の平安を守って力を養っていることを表しています。

「師」とは軍隊のことを表し、戦争を意味します。易では戦争そのものは、こちらから仕掛けるものではなく、国民を守るために避けるべきものであると説きます。それでも、国民や家族を守るため、どうしても受けて立たなくてはならないときがあり、その場合の戦いには絶対に負けてはならないと書かれています。

この卦が私たちに教えること

この卦では、古代中国の王や将軍に対し何か事が起きた際、組織をまとめるトップがどうあるべきかを説いているのですが、これはそのまま、現在の企業経営者や組織のトップに立つ人にも当てはまります。

戦いに負けてはならないといわれても、時の流れがあり、どうしても勝てる見込みのない場合もあります。そんな時は、時間を稼いで直接戦わないですむ方法を考え、その場から一時逃げてもよいので、その間に力を養い、今できる最善の策を考えなさいといいます。

そして、戦いにおける「勝ち方」については、勝って相手を滅ぼすのではなく、相手を味方につけていくような手法を用いなさいと教えています。これは現在の経済競争においても通じるところがあります。相手を潰すのではなく、活かす方法を考えていくことです。そのためには、得た利益を還元し、人々の賛同を得られるよう努力をすることだと説きます。

また、組織にとって重要なのは「律」であるといいます。律とは、規律のことであり、今の会社や組織においては経営理念がこれにあてはまります。組織をまとめていくために、トップは理念を示し、現場の担当者が思いきり活躍できるよう口を挟まずに任せ、何かあったときには最終的に全責任を負うことです。

この卦が出たあなたへ

この卦が出る方は、かなり大がかりな仕事や多角的な事業、大家族を切り盛りしている人などが多く、心から信頼できる協力者を得ることが成功のカギです。ただ、異性関係においてはまだ、本当の意味での相手にはめぐりあっていない時です。

男女ともに、責任のある立場にあって日々忙しく、人からの頼みも進んで引き受けてあげないといけない上に、自身も次々やってくる仕事に、新たな気持ちで取り組んでいかなければなりません。

占い例

ある中小企業の社長を占ってこの卦が出たことがあります。この方の知恵と包容力に、社員はもちろん、関連事業者も頼りにしていることがうかがえます。社内に腹心の部下を育てればさらに飛躍するでしょうと申し上げました。

 

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