䷇8.水地比(すいちひ)
「豊かな田園」
この卦が表すもの
「水」の卦が「地」の上に現れた形をしており、豊かな水田のイメージが浮かびます。これは、長い間の戦争が終わって平穏な日が訪れた時の、落ち着いた田園風景を表しています。
この卦の「比」とは、人間が同じ方向を見て並んでいる姿を指し、「親しむ」という意味があります。平和な世の中において、人々が親しむというので、人が集まり和気あいあいとした雰囲気が感じられます。人が集まれば皆、生活にも次の発展を求めます。「比」には人と比べるという意味もあり、同じ目標に向かって人が集まる中、皆が同じものを望んでいるとなれば、太平の世でも競争があることを表しています。
この卦が私たちに教えること
水地比におけるリーダー像は、トップに立つ者だけに能力があって、周りのものには誰もかなうものがいないという状況です。このトップは、その図抜けた優秀さのために、称賛され信頼され、大切にされるのですが、周りの人がなかなか育っていかないという欠点があります。そのため、トップだけがいつでも大忙しで、誰かに任せることもできません。周りから尊敬されるものの、寝込むこともできないリーダーの在り方は、決して悪くはないが、危ういものだと教えています。
この卦のリーダーは、どんなことに気を付けたらよいのでしょうか。
ここでは、どんなに実力があっても、力のないものをないがしろにしてはならないと説きます。今でいうと、仕事のできない人を、逃げ道がなくなるほどに追い詰めてはいけないといいます。
そして、本当の意味で有能なトップであれば、自分が不在でも組織が回っていく仕組みを作れているのであって、それができていないのなら、まだ工夫の余地があると気を引き締めて、次の展開を考えるようにしてください。
この卦が出たあなたへ
同じ目標に向かって人が集まる時なので、自分が欲しているものを、他の人も望んでいるときです。このような場合は、ただ人と親しめという意味ではなく、人に後れをとるなということになります。
仕事や事業では、共存共栄が吉で、共同事業に向いています。
男性の場合は、実力・運に恵まれた方が多く、複数の女性と縁があります。
女性の場合は、一人の男性を巡って競争の激しい時とみます。こんな時は遅れてならず、人を押しのけてでも何とかしなければならない場合があります。
結婚としてみると、大変よい卦です。大地に水がしっとりとしみこんでいくようにぴったりと合って離れられない仲になります。