䷂3.水雷屯(すいらいちゅん)
「ゆきなやむ新芽」
この卦が表すもの
「水」の卦の下に「雷」があります。雷には「動く」という意味があるのですが、上に水があるために、動くことができない様子を表しています。
「屯」は、「たむろする」と読み、同じ志をもった者が集まり、新しいことを起こそうとするものの、意見の食い違いが生じて困難な状況に直面することを表しています。これは、何か物事を始めるにあたって思うように進めていくことができずにいる「生みの苦しみ」の卦です。
易には、64種類の卦がありますが、この卦は「四大難卦」のうちの一つとされています。
この卦が私たちに教えること
古代中国では新しい国を興すとき、現代では起業において、始まりの時に混乱するのは仕方のないことです。それをこの卦では「経綸」を用いて、整えていくことを教えています。
「経」とは、織物の機を織る「縦糸」のことであり、「綸」とは、機織りの際、最初に糸をぴんと張ることをいいます。新生の時の混乱を治めるには、まず、縦糸となる「大綱」を整えて、おおよそのしくみを作ることが重要であると説きます。それから糸を張った状態を保ち、細目となる横糸を織っていき、システムとして成り立たせなさいといいます。
この卦では、大きな事業やプロジェクトを進めるときには、様々な困難があるのは当然のことであって、生みの苦しみに負けずに奮闘しなさいと激励しています。
そして、協力者も現れない時の軽挙妄動は、失敗のもとであると忠告します。自分の専門外の分野で利益を得ようと画策しても、林の中で迷うことと同じだというのです。このようなときは、自身の力不足を知り、適切な人に助けを求めることが吉であると説きます。
この卦が出たあなたへ
これは四大難卦の一つであり、決して良い運勢とはいえません。しかし、困難のなかにあって希望を持ちながら時を待つ、という意味があります。今は、雪の中で草木の芽が、雪解けの時を待っている状況です。こんな時に、焦って無理に物事を推し進めようとすると、せっかく出た芽が残雪の寒さに台無しになってしまうことになります。
会社や組織で例えると、設立の際の準備期間です。目的を成し遂げるまでに、多事多難の時ですが、今後半年間は、信頼のできる方に相談し、アドバイスをもらいながら忍耐努力を続けてください。そのうちに、必ず悩みがとけて、好転のチャンスがやってきます。
結婚については、この卦が「ゆきなやむ」ものであるために、今すぐには成就しませんが、希望は持ち続けることです。4カ月から半年くらい経つと、状況にも変化がありますので、その時点から動き始めるとよいでしょう。