沢天夬(たくてんかい)~下剋上の危険~

43.沢天夬(たくてんかい)

「下剋上の危険」

この卦が表すもの

「沢」の卦が上にあり、「天」の卦が下にあることから、沢の水が高いところにあるために、今にも決壊して水があふれ出ようとしている危険な形です。一番上に陰(⚋)があるのみで、それから下は全部陽(⚊)なので、トップに立つものが弱体化し、下層のものたちが力を伸ばしてくるときです。

「夬」とは、決する・決し去るという意味があります。夬という文字に氵(さんずい)がつくと、決心の「決」になります。はっきりせずに残しているものがあれば、思い切って決し去ることを決め、新しい時代を切り開くことになります。

この卦が私たちに教えること

ここでは弱体化した上位の権力者を排除し、新しい時代への道を開くためにはどのようにすればよいのかを教えています。

まずは排除しなくてはならない理由を明らかにする必要があるのですが、相手は力をなくしているとはいえ、高い地位にあるために手ごわいといいます。誠意を尽くして訴えたところで、真正面からぶつかったのでは危険が伴うのです。そこで、まずは自分の周りの親しいものから賛同を得ていき、広く民衆の意志を固めて根底にある力を養いなさいといいます。そして武力を用いずに事を達成させよといいます。権力者を除く際に武力に訴えては、混乱して時間を無駄にするうえ、次の進むべき道が行き詰まると説きます。

この沢天夬をモデルにしたような史実が、劇的な変貌を遂げた明治維新前の幕末期であるといえます。

明治維新は、江戸時代の最後の将軍、徳川慶喜が下級武士たちによって押し切られる形で大政奉還をしました。武力は用いずに江戸城は無血開城され、新しい時代が開かれることになったことはご存じのとおりです。

この卦が出たあなたへ

この卦が出たときは、非常に危険をはらんでいるときです。また、日常生活ではできるだけ気を優しく保ち、外面的に従順さを表していないとならないときです。

仕事や事業では、下から上への下剋上の機運が高まっているときですので、一瞬たりとも気が抜けません。けんかや口論もありますが、暴力だけは回避するようにしてください。事業そのものについては、あらゆる面で勢いが強すぎて失敗が多いと見ます。多角的に事業を広げすぎて身動きが取れないとか、自分の実力以上に責任を背負い、ひどいときは過労で倒れる危険があります。契約、文書について問題が発生し、ともすると訴訟沙汰になるときです。

恋愛については、相手の気持ちなどお構いなしに、一方的に熱を上げすぎているときです。いったん冷静になって考えてみてください。

結婚に関しても、よくない縁です。全くバランスの取れていない組み合わせの場合が多く、夫婦間でもいさかいやもめごとが絶えないと見ます。

この卦が出た方は、もう一度、気持ちが落ち着いたときに、易に問いたい問題を別の方面から、再度設定しなおして、改めて占ってみることをお勧めします。

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