天雷无妄(てんらいぶもう)~自然のなすままに~

25.天雷无妄(てんらいぶもう)

「自然のなすままに」

この卦が表すもの

この卦は「天」の卦の下に「雷」があり、天の下で雷が轟いている様子を表すことから、天、つまり自然の法則に従って物事が動いていくという意味があります。无妄の「无」という文字は、「無」という文字の古字であり、「む」と読みます。そして「妄」は道理に外れるという意味があるので、「无妄」とは道理に外れることがない、今は心身ともに天の運行に任せるときであることを示しています。

この卦が私たちに教えること

私たち人間は、自然のおおいな力を部分的に利用させてもらって生きており、大地震や台風、はたまた新型ウイルスの前では無力であることを痛感させられます。大きな災害も、自然が人間を困らせてやろうとして起きているわけはなく、人間の方で大きな被害が出るために困ると感じているだけのことなのです。この卦の原文を読むと、「无妄はおおいにとおる」と書かれ、すべて自然にまかせてすすめるならば物事は通じていくという意味なのですが、人間にとっての自然体は、実は何よりも難しいことかもしれません。人間はいつの時も何かしらの欲にかられて生きているものだからです。他の卦では、その時々でどのように対処していったらよいかのアドバイスがあるのですが、この天雷无妄ではそれがありません。策を弄さず、何かに期待せず、自然の成り行きに任せること、何もしないことを学ぶときであるといえるでしょう。だからといって、問題を「あなたまかせ」にして、無視したり逃げたり、ほったらかしてよいというものでもありません。人事を尽くして天命を待つ、という心持ちでいられるように自分のやれることはやって、結果については期待をしないということかと思います。

大きな災害の前では不安がつきませんが、人間が動いて解決できる問題でないとしたら、やれることをやり、自然に身を任せれば、精神的なダメージも最小限に抑えられるのではないでしょうか。

人間も自然の中の一部ということを忘れないようにしたいものです。

この卦が出たあなたへ

予定を立ててもそのとおりに進むことはほとんどなく、相手の都合次第で変更が多いです。このようなときは、自分から積極的に出ることはせず、事の成り行きに任せることがよいときです。

自分にとって、最悪の事態が起きた時も、大変難しいことかと思いますが、つとめて静かに事態を受け入れ、その時が過ぎていくのを待ちます。こういう時には自分の心にかなった学問・研究を行ったり、楽しみをもとめたりしてはいかがでしょうか。

恋愛や結婚も成なりゆきに任せるときなので、自分の側から積極的に動いたり技巧を凝らしたりしなくても、まとまるときが来ればまとまります。すべては時期が来れば自然に解決することが多いです。

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