地山謙(ちざんけん)~こうべを垂れる稲穂~

15.地山謙(ちざんけん)

「こうべを垂れる稲穂」

 この卦が表すもの

 上の卦は「地」を示しており、下の卦は「山」を示しています。本来は地の上に山があってしかるべきなのに、山の上に地があるとは、一見、変です。これは本来上にあるべきものが、自らが快く下にへりくだることによる、謙虚さを表しています。

 この卦が私たちに教えること

 「謙」の意味は、謙遜や謙虚という言葉があるとおりに、へりくだる・控えるということです。秋の田に刈入れを待つばかりの稲穂が、重そうにこうべを垂れているように、徳を積んで充実した人ほど、人に対しては謙虚で、自身の有り余っている徳を他に分け与える存在なのです。よくありがちなことは、謙虚であれば必ず好かれて、物事は思いのままに進むとして、本当はとても傲慢なのに、謙虚なふりをする人がいます。本当の意味で謙虚な人は、学べば学ぶほど、徳を積めば積むほどに、まだ足りていない自分を思い知らされて、もっと精進したいという真の謙虚さがあるのです。

 普通なら自分が人より優れているところや、過去の成功を人に語りたいものです。頭が良ければ人に誇りたいし、出自が良ければどこの名家出身だと言いたい、成功をした人なら、その体験を語りたいものです。でもそうやって誇ったり、過去の栄光の話をしだすと、その人の将来は危ういとこの卦は教えています。

この「謙」を体現した方は、作曲家の筒美京平さんではないでしょうか。あれだけたくさんのヒット曲を世に送り出し、実績がありながらも、ご自身は世間にもほとんど姿を現さず、もっと曲を頼んでほしいと、最晩年まで曲を作り続けておられました。

 この卦が出たあなたへ

 謙虚さを物事の最後まで持続させることができるなら、その志はとおります。

謙には、満ちているものを欠けさせ、足りないところを満たすという意味もあるので、物事について、多いところから少ないところへと均衡を図ることを意識してください。人が必要とするものが有り余っているところがあるとしたら、それを足りていないところに回すことで、社会や組織が安定し、伸びていきます。

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