䷾63.水火既済(すいかきさい)
「成功者のその先」
この卦が表すもの
「水」の下に「火」のあるこの卦は、形を見ると上からきれいに陰(⚋)と陽(⚊)が交互に規則正しく並んでいます。「済」は「わたる」と読み、「既済」は、すでに川を渡り終えたという意味になります。すでに成り、すべてが整った状態であり、志を成し遂げ功成り名遂げた人が、今、最高潮にある完成のときを表しています。易経では満ちれば欠けることが時の流れであるとして、この完成形をどのようにしたら長く保つことができるかを導こうとしています。
この卦が私たちに教えること
事業に関して「創業は易く守成は難し」という表現がありますが、創業の後、事業を守っていくことは簡単なようで難しいという意味です。創業も守成も大変なことには変わりがないが、守成の方がより難しいということです。
すべてが整っているときは、大きく動かず、極端に乱れることのないように注意しなさいと教えています。完成の後は成熟の段階なので、小さなことに専念し、内部の質を高めていく必要を説きます。会社や組織の仕組みも整っている中にも、ちょっとした不都合が見つかれば、少しずつ改善を重ねていくことです。
好調のピーク時は、衰退の始まりといわれてもピンとこないもので、成功体験から、さらに大きな挑戦をしたくなったりします。自分のことは自分が一番わかっているようで、実はわからないものなのです。
どんなに気を付けて努力をしても、成熟したものは必ず形を崩して朽ちていくものなのですが、そのなかで守ることを知り実践できることは、それだけで吉なのだと教えています。
この卦が出たあなたへ
物事は成し遂げられ、完成を迎えました。現状を固く守り、これ以上の冒険は控えて賢明です。平穏なときが続くと気も緩みがちになり、油断から間違いも起きるときです。始めはまとまっていることも、時間がたつにつれ乱れてきますので注意をして、手落ちのないようにすることが大切です。
仕事や事業においては、すでに成功をおさめた形です。これ以上の新しい計画や実力以上の野心を持つ時ではありません。つくり上げた仕組みのマイナーチェンジをくり返しながら、この成功が長く続くようにしてください。
結婚はまとまります。そして相性もよいです。この幸せを長く保つために、お互いを思いやりながら慎み守っていく心がけが大切です。
夫婦の場合は、一見何も問題のない平穏なときです。両者が賢いもの同士の組み合わせで、本質では満足しているのに、ちょっとした不満でぶつかり合いもあるときです。
お付き合いをしている方々は、もうすべてが整っているので次の段階に進んでよいときです。