䷹58.兌為沢(だいたく)
「楽しげに笑う彼女」
この卦が表すもの
上も下も「沢」があるこの卦は、形を見ると、喜びをたたえた口が重なっているようです。「兌」には、悦(よろこ)ぶ・悦ばせるという意味があります。「喜悦」「悦楽」はどれも人間の悦びを表現した熟語です。正しい志で自ら進んでことにあたれば、物事は順調に成し遂げられていきます。また、兌の文字には、天の気が下りて来て、祈りを届けることができるという、とても悦ばしい卦です。
この卦が私たちに教えること
ここでは悦びをもって進めば、志は遂げられると説く一方で、その「悦び」にもよい悦びと悪い悦びがあると教えています。賄賂で悦ばせて無理やり物事をとおしたり、高い地位のものが取り巻きをつくりたいがために、言葉巧みに周りを取り込もうとすることは、道理に反することで、一時的には効果が上がっても、長く続くものではないといいます。事を行うには、天に道にしたがい、人の誠心に一致するものでなければならないと説きます。
また、世の中には口先三寸の誠実ではない人もいる中で、そういう人とどのように付き合ったらよいのかを教えています。こういう類の人に対しては、誠実な人と同様の付き合いをせずに、はっきりと区別しなさいと説きます。どんなに警戒しても、口のうまい人は悦ばせる術が巧みで、いつ間にか懐に入られて、自分の誠心が剥奪されてしまうので注意しなさいと教えています。
この卦が出たあなたへ
仕事や事業の面では、言葉が重要なセールスマンや保険業、外交官、放送関係者、新聞記者、出版関係者、印刷業者には、大変よい卦です。
口から出る言葉は、一度出たら消すことはできないことから、悪くすると口論や対立の原因にもなります。「口は禍のもと」でもあることを忘れないでください。
困難な仕事や事業に直面しているリーダーは、自分から悦んで取り組めば、これに従う人も、和やかな気持ちで励むことができます。自らがよい雰囲気を作り出して、不平不満がでないように進めてみることです。
現実の日常生活で、不満の全くない人はいないでしょうが、せめておおいに笑うことや笑顔で日々を明るくしていきましょう。金銭面では思いのほか豊かに恵まれるときです。
恋愛や結婚では、一人の男性を巡って、二人の女性が争っているときと見ます。たいていの場合は、実質の伴わない甘い言葉によい気分になっていることが多いので、冷静になってよく判断してください。
ただし、再婚の場合は悦びを重ねるところから吉です。